麺待ち
ラーメン屋に行く。
席に「お客様ノート」なる代物が置かれている。客たちが主に料理の感想を書いている。
あるページの文字だけがノートを180度ひっくり返した状態で書かれている。内容を読むと、「私は気づいた、このノートの上下が逆だということに」とのこと。
そこで気づく。たしかにこの「お客様ノート」は上下が逆になり、本来の裏表紙がいちばん前に来る形で利用されている。
次のページを見て驚く。別の客が「私はあえて逆を貫く」と宣言し、それまでと同様の向きで料理の感想を記している。
次のページにも、さらに次のページにも、「私も逆を貫く」という宣言と共に、さまざまな客による上下逆向きの文字が続いている。
さらにページをめくっていき、己の目を疑う。
ある客が「私はあえて横向きに書く」と宣言し、ノートを90度回転させ、罫線と直角の向きに文字を連ねている。
人々の柔軟さに乾杯する。